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執筆者の写真Miho Oashi

「ペスカタリアン」になる。“食べ方”の選択は“生き方”の選択でもある

更新日:2020年5月17日


突然ですが、「ペスカタリアン」って知ってますか。誤解を恐れず言うと、ベジタリアンの魚介版みたいな感じ。


まず、ペスカタリアンたる人々が大体どんな食生活をしているか。これの一番簡単な言い方はおそらく、「魚介類を食べて哺乳類は食べない」ということだと思う。乳製品や卵は食べる人が多いらしい。じゃあどうしてペスカタリアンになるの? というのでは、それぞれいろんな理由がありつつも、大体の人が「健康のため」「環境問題のため」「飢餓を救うため」「動物虐待に反対」「倫理的視点から」などの観点からペスカタリアンを選ぶようだ。


この度私も「ペスカタリアン」になるべく、というか結果的にそうなった、という方が適切だけれど、魚を中心とした食生活を始めたので、そのことについて少し書いてみようと思う。

私がペスカタリアンになったわけは大きく分けて3つある。

1つは「健康のため」。2つ目は「肉より魚が好き」。3つ目は「倫理観から」。


「健康のため」というのがなんといっても大きい。もともと私はアトピー体質で、10代後半の時に「脱ステロイド」という荒治療をしている(当時流行っていた。基本的には今も賛成)。その時も食事制限をしていて、どちらかというとヴィーガンに近かった。肉はもちろん魚も食べず、食品添加物、既製品、油、乳製品、砂糖、白い色の食べ物などを排除していた。(他にも漢方とか生活習慣改善とかいろいろやって)紆余曲折ありながら2年くらいでよくなり、結論としては「アトピーはメンタルヘルスが問題」というところに落ち着いた。だから食事に気にかけるのはやめたのだ。


が、しかしあれから約10年。またアトピーが出てきた。そろそろ本腰を入れて向き合おうと思い、あれこれ調べると、やっぱりどこでもアトピーは食事が大切! と書いてあるじゃないか(そうだと思ってたけど)。ということで久しぶりに食事制限をすることにした。

今は魚と野菜、穀物を中心に、植物油と卵を除去する食べ方をしてる(アルコールも)。

モルディブのマーフシ島は魚ばっかりだった

2つ目の「肉より魚が好き」は個人の嗜好なので割愛する。

3つ目の「倫理観から」は、数年前からなんとなく「哺乳類」を食べることに、意も言えぬ「気持ち悪さ」みたいなのを感じていた。10年くらい前に「丸々食べられるもの以外は食べない」という哲学を持っている人に出会った。その人曰く、魚は頭から尻尾まで食べられるからOKということだった。それはずっと胸に残っていて、「確かに豚の目玉ってあんまり食べないよね」と思った。

それにすごく不思議な気がした。あの豚とか牛のスライスと、動物としての彼らがなかなか結びつかない。いきなりあの動物たちがスライスになってスーパーに並んでいて、その間のプロセスはすっ飛ばされてる。もしそのプロセスが公開されてても、私に見ることができるかはわからないっていうか、多分無理だと思う。

大学生の頃、派遣で食品工場にバイトに行ったことがあって(都内のコンビニのお弁当とかおにぎり作ってたよ)、肉加工の部屋ってめちゃくちゃくさい。なんか殺伐として寒くて怖かった。ちなみに大手スーパーの食肉加工部門で働いてた友達が言ってたんだけど、「アメリカからきた肉がすっごく臭い」らしい。日本のはまだマシって言ってた。

多分、いろんな経験とか、見たり聞いたりしたものが入り混じって、お肉とうまく向き合えなくなってたんだと思う。


というのが個人的な理由だけれど、じゃあ事実は? というところで、いろいろ調べてみた。

さて、まず健康についてだけど、魚には「オメガ3脂肪酸」というのが多く含まれていて、これはもう有名だからきっと知っている人がほとんどだと思う。サプリとか飲む油とか流行ってるもんね。よくいわれているところでは、心臓病、糖尿病、動脈硬化、アレルギー、癌なんかのリスクを減らす効果があるらしい。ちなみに最近の研究で、メンタルヘルスにも効果があることがわかったとのこと。昨年、パニック障害と強迫性障害(ひっくるめて不安症)で本当に苦しんだので、個人的にものすごく嬉しいニュース。


環境問題については、昨年の気候行動サミットにおける小泉進次郎環境相のニューヨークステーキ事件が記憶に新しいと思う。畜産業が地球に与える損害は大きい。土地の劣化や水不足、食物不足、メタンガス排出、温室効果ガス排出など。ちなみにインドでは牛を食べないけれど、酪農用としてアメリカの3倍(3億頭)もの牛がいるらしい。あとは牛に与える穀物類を飢餓で苦しんでる人に分け与えたら、数十億人の人が救えるとか。あとはもちろん畜産上での家畜の扱いとか。知れば知るほど怖い。

けれど私個人としては、畜産業やその周辺で生活している人たちのことを考えると、一概に食肉NO!とかは言えない。まずはシステム自体を変えなきゃいけないから。そしてそもそも魚だって生き物っていうことも、自分の中でちゃんと答えが出てるわけじゃない。ただ、ペスカタリアンの人々の間では、「魚には痛覚がないからOK」っていうのもあるらしい。それからもうひとつ、日本の場合、放射能があるから魚を食べるのをやめたっていう人にも会って、これもすごく考えさせられた。


ここまでいろいろ調べたりしてわかったのは、それぞれが自分の考えを持って、「食べ方」を選んでるってこと。考えを持つというのは、生き方をひとつ決めるのと似たようなものだと思う。自分が何に賛成していて、何に反対なのか、または何を一番大切にしているか、とか、たかが食だけどいろんなことが見えてくるよね。ただなんとなく健康と気持ち悪さから「魚食べよ」と思ったことで、世界が抱える共通の問題に向き合うきっかけにもなったし。


ちなみに、まだビギナーだけど、お腹の調子がいい。肌の方も今のところは少しずつよくなっているので、これからも自分の体の声を聞きながらいろいろ選んでいきたい。


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